新築マンションのEV充電器補助金(国の年度またぎ事業)対象・受付時期・申請の注意【既存マンションは対象外】

結論

国の充電設備補助金(令和7年度補正)には、新築の集合住宅だけを対象にした「年度またぎ事業」があります。対象は、申請時点で着工前か工事中で、竣工予定日が2027年度(2027年4月〜2028年3月)の共同住宅です。

既存マンションは対象外です。申請受付は令和8年10月〜11月中旬の予定ですが、2026年10月12日時点で申請の手引きと受付開始日は公表されていません。

この記事の補助金の情報は2026年10月12日時点のものです。申請前に公式ページで最新の内容をご確認ください。

新築マンションを計画・建設している事業者や設計・施工の担当者にとって、「EV充電器の補助金は既存マンション向けばかりで、新築には使えないのでは」という悩みは珍しくありません。実は国の令和7年度補正予算に、新築の集合住宅だけを対象にした別枠があります。工事期間が長い案件を取りこぼさないために設けられた「年度またぎ事業」です。

この別枠は対象の条件と申請の時期がはっきり決まっており、新築ならではの要件(販売事業者の手続きや管理組合の発足前の扱い)もあります。本記事では、公的資料をもとに対象・スケジュール・申請の注意点を整理し、既存マンションが使える制度の探し方まで解説します。

こんな方にオススメ

  • ●2027年度に竣工予定の新築マンションを計画・建設している販売事業者やオーナーの方
  • ●新築マンションの設計・施工でEV充電器の補助金を検討している担当者の方
  • ●「国の補助金はもう終わったのでは」と思っている既存マンションの理事の方

この記事を読むと…

  • ●年度またぎ事業の対象・予算・スケジュールがわかる
  • ●新築マンションならではの申請要件と対象外の工事がわかる
  • ●既存マンションが使える制度の探し方がわかる

マンションのEV充電設備は、補助金を使うと自己負担を大きく抑えられることがあります。対象になるか、無料で相談できます。

新築マンション向けの「年度またぎ事業」とは

年度またぎ事業とは、工事期間が長い案件のために、通常より長い実施期間を設けて国が行う充電設備補助金の別枠です。対象は高速道路のSA・PAと新築集合住宅に限られており、既存マンションは含まれません。

管理組合の理事
管理組合の理事

国の補助金は第1期も第2期も終わったと聞きました。これは別物なんですか?

EV充電アドバイザー
EV充電アドバイザー

はい、別物です。第1期・第2期とは別に、新築の集合住宅などに向けた「年度またぎ事業」が用意されています。ただし既存マンションは対象外なので、そこは注意が必要です。

工期の長い工事のための別枠の公募

年度またぎ事業は、令和7年度補正予算の365億円のうち10億円を使い、事業実施期間を長く設けて行う公募です。充電器の設置工事期間の制約で、従来の募集期間では申請が難しかった案件を対象にするために設けられました。

対象は「①高速道路(SA・PA)の急速充電器」と「②新築集合住宅の普通充電器」の2つに限定されています。従来の申請要件に加えて、工期がかかる証明書等を提出することが条件です。

既存マンションに後から充電器だけを設置するケースは、この別枠の対象には含まれません。

出典:経済産業省「充電設備補助金(国庫債務負担行為分(年度またぎ事業)公募について)」(2026年10月確認)

対象になる「新築集合住宅」の定義

対象になる新築集合住宅とは、補助金申請時点で着工前または工事中であり、竣工予定日が2027年度である共同住宅です。竣工予定日が2027年度とは、2027年4月1日〜2028年3月31日に竣工予定という意味です。

この定義の中心は「申請の時点でまだ完成していないこと」と「竣工予定が2027年度であること」の2点です。すでに完成している建物に充電器だけを設置する場合は、この新築の定義にあてはまりません。

既存マンションは対象外です。年度またぎ事業はあくまで新築の共同住宅のための別枠であり、既に完成済みのマンションは、この制度では申請できません。既存マンションの方は、記事後半で案内する別の制度を確認してください。

CHECK

対象の3条件:①新築の共同住宅であること/②申請時点で着工前か工事中であること/③竣工予定日が2027年度(2027年4月〜2028年3月)であること。すべて満たす場合に年度またぎ事業の対象になりうる。

第1期・第2期とは別の募集

年度またぎ事業は、令和7年度補正予算の第1期・第2期募集とは別の募集です。経済産業省も「第1期・第2期募集とは別に、工期が長いとされる高速道路及び新築集合住宅を対象に公募を実施する」と説明しています。

なお、次世代自動車振興センター(CEV)のサイトにある「令和7年度予算 年度またぎ事業 終了」や「令和6年度予算 年度またぎ事業 終了」という表示は、今回の制度とは異なる過去の別事業です。混同しないよう注意が必要です。

既存マンション向けの国の第1期・第2期募集は受付が終了しています。次の募集は未発表のため、既存マンションの導入全体を知りたい方はEV充電器の補助金の記事もあわせてご覧ください。

出典:経済産業省「令和7年度補正予算 充電インフラ補助金」(2026年10月確認)

この記事の目次

予算とスケジュール

新築集合住宅の年度またぎ事業は、予算配分4億円で、申請受付は令和8年10月〜11月中旬が予定されています。ここでは想定されているスケジュールと、予算を超えた場合の選び方を整理します。

年度またぎ事業のスケジュール。1 申請受付 令和8年10月〜11月中旬、2 交付決定 令和8年12月〜令和9年1月、交付決定のあとに発注・着工、3 発注・設置工事 令和9年1月〜12月、4 実績報告締切 令和10年1月中旬。現時点の想定で変更の可能性あり
年度またぎ事業(新築集合住宅)の想定スケジュール(経済産業省の概要をもとに作成)
項目②新築集合住宅(普通充電器)
予算配分4億円(事務費を含めた総額)
申請受付期間令和8年10月〜11月中旬(予定)
交付決定時期令和8年12月〜令和9年1月
事業実施期間(発注・設置工事)令和9年1月〜12月
実績報告締切令和10年1月中旬

現時点で想定しているスケジュールであり、変更の可能性があります(経済産業省)。

出典:次世代自動車振興センター「充電設備補助金(年度またぎ事業)のお知らせ」(2026年10月確認)

予算を超えたら「kWあたりの申請額が低い順」に選ばれる

年度またぎ事業は、予算配分を超える申請があった場合、kW当たりの補助金申請額が低い申請案件から優先的に選定されます。先に申請した順ではなく、申請額の効率で選ばれる仕組みです。

早く出せば必ず通るとは限らず、申請内容そのものが選定に影響します。

選定のあとに審査を経て交付決定となるため、申請すれば自動的に採択されるわけではありません。見積りや設備の選び方を含めて、無理のない申請内容を整えることが大切です。

手引き・受付開始日は未公表

2026年10月12日時点で、年度またぎ事業の申請の手引き・交付規程・受付開始日・締切日は公表されていません。経済産業省が2026年9月29日に、CEVが10月1日に公募の概要を出した段階です。

そのため「受付中」や「11月◯日まで」という具体的な案内はまだできません。申請額の上限が第1期・第2期と同じかどうかも、今後出る手引きで確認する必要があります。

CAUTION

2026年10月12日時点では受付は始まっていません。受付開始日や手引きが公表されたら、次世代自動車振興センターの公式ページで最新情報を確認してから準備を進めてください。

申請の要件(第1期・第2期と同じとされている要件)

年度またぎ事業の申請要件は「第1期・第2期募集と同様」とされ、これに「工期がかかる証明書等」の提出が加わります。ここでは第1期・第2期の要件のうち、新築マンションに関係するものを整理します。

なお、年度またぎ事業の手引きはまだ出ていないため、以下は第1期・第2期の要件として読み、詳しい内容は今後公表される申請の手引きで確認してください。

共通の要件と「工期がかかる証明書等」

共通の要件は、受電元が共用部の配電盤・分電盤等か充電設備専用の別引込であること、利用者がそのマンションの居住者か駐車場の契約者であることなどです。通信規格はOCPP1.6以降またはECHONET Lite準拠が必要とされています。

普通充電設備と充電用コンセント(スタンド)の併設は不可です。通信を介さず課金・制御する設備は、通信規格への準拠を求めない扱いとされています。

年度またぎ事業では、これらに加えて「工期がかかる証明書等」の提出が条件です。ただし具体的な書類名は未公表のため、手引きの公表を待つ必要があります。

新築の分譲マンションで気をつけること

新築の分譲マンションで申請者が販売事業者の場合、竣工後に充電設備の所有者を管理組合へ変更する前に、財産処分の手続きが必要になります。センターに報告し、指示を受けることとされています。

加えて、重要事項説明会等で充電設備の管理義務について変更先に説明すること、申請者がマンションの所有者でない場合は販売事業者の許諾を受けていることが求められます。これは新築分譲ならではの要件です。

交付申請時には住民総会での設置決議、または理事会での合意が必要です。新築で管理組合がまだ発足していない場合は、管理組合の発足日を確認できる書類を提出することとされています。決議の進め方は総会決議・理事会合意の記事もご覧ください。

賃貸マンションの場合の注意

賃貸マンションでは、所有者が自らの駐車場に設置することを目的とした申請はできないとされています。居住者や契約者の利用を前提とする点が共通の考え方です。

賃貸オーナーが新築マンションで充電設備を検討する場合は、この要件を踏まえた計画が必要になります。

いずれの場合も、詳しい要件は今後公表される申請の手引きで確認してください。

出典:次世代自動車振興センター「令和7年度補正 充電設備補助金 申請要件」(2026年10月確認)

補助の上限と、対象にならない工事

第1期・第2期の工事費の上限は、普通充電設備で135万円などが設定されています。ただし新築では、建物全体のための設備は補助の対象になりません。ここでは上限の考え方と、新築ならではの対象外を整理します。

第1期・第2期の上限額

第1期・第2期の上限は、普通充電設備の購入費が1/2以内で35万円、設置工事費が定額(1/1以内)で135万円などと設定されています。年度またぎ事業で同じ値かは手引きで確認が必要です。

対象(1基の場合の表の値)補助率/上限
充電設備の購入費(普通充電設備)1/2以内・上限35万円
充電設備の購入費(コンセントスタンド/コンセント)1/2以内・上限11万円/7万円
設置工事費(普通充電設備・コンセントスタンド)定額(1/1以内)・平置き/機械式とも135万円
設置工事費(充電用コンセント)定額(1/1以内)・平置き95万円/機械式135万円
新築のレイアウト検討費上限10万円

複数口・複数基の上限は「別にセンターが定める」とされています。表の値を足し算して「◯基なら◯万円」と計算することはできません。「定額(1/1以内)」も、対象外の経費があるため全額補助とは異なります。

出典:次世代自動車振興センター「令和7年度補正 充電設備補助金 工事費の上限額」(2026年10月確認)

建物全体のための設備は対象外

新築マンションでは、建物の一般設備に電気を送る分電盤の設計変更分や、それに伴う幹線の変更は対象外です。施設全体へ電気を送る高圧受変電設備も補助の対象になりません。

将来の増設に備えた配線配管(申告した充電設備以外の工事を含むもの)も対象外とされています。

一般管理費や現場管理費・共通仮設費、申請手続代行費なども対象外です。新築工事全体の費用と、充電設備の工事だけの費用を切り分ける視点が欠かせません。

⚠️ 新築ならではの対象外に注意
  • 一般設備への電力供給を担う分電盤の設計変更分・幹線の変更
  • 施設全体への電力供給を担う高圧受変電設備
  • 将来用の配線配管(申告した充電設備以外の工事を含むもの)
  • 一般管理費・現場管理費・共通仮設費・申請手続代行費

見積書は充電設備の工事だけを分ける

新築工事に伴って充電設備を設置する場合、原則として充電設備等設置工事だけにかかる見積書を出すこととされています。新築全体の見積りとは分けて用意する必要があります。

これは、補助の対象にならない建物全体の工事費が紛れ込むのを防ぐためです。見積りの段階から、充電設備の工事を別立てにしておくとスムーズです。

どこまでが対象でどこからが対象外か迷う場合は、見積書の作り方から整理することをおすすめします。自分の物件が対象か確かめたい方はかんたん診断もご利用ください。正確な費用は現地調査と見積りで決まるため、見積りの相談とあわせて検討すると判断しやすくなります。

受付期間が短く、要件も新築特有です。自分の物件が対象か、何を準備すればよいかを早めに相談しておくと安心です。

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既存マンションは何を使える?

既存マンションは年度またぎ事業の対象外です。ただし、国の次の募集や東京都・自治体の助成など、ほかに確認できる制度があります。ここでは既存マンションが使える制度の探し方を整理します。

管理組合の理事
管理組合の理事

うちは築15年の既存マンションです。もう国の補助金は使えないんでしょうか?

EV充電アドバイザー
EV充電アドバイザー

年度またぎ事業は使えませんが、国の次の募集や東京都・自治体の助成が選択肢になります。地域によって内容が違うので、順番に確認していきましょう。

国の次の募集と東京都の助成

国(令和7年度補正)の第1期・第2期募集は受付が終了し、次の募集は未発表です。既存マンション向けの国の補助金は、公式の発表を待つ必要があります。導入全体の流れはEV充電器の補助金の記事で確認できます。

東京都では、充電設備普及促進事業(居住者用)の助成が令和9年3月31日17時まで受付とされています。ただし予算に達した日に受付が止まるため、期限より前でも締め切られる場合があります。詳しくは東京都の補助金ページをご覧ください。

出典:次世代自動車振興センター 公式サイト、クール・ネット東京 助成金申請の手引き 令和8年度[第4版](2026年10月確認)

都道府県・市区町村の補助と併用の注意

東京都以外でも、都道府県や市区町村が独自の補助を設けている場合があります。お住まいの地域の制度は補助金の記事一覧から確認してください。

東京都内の新築については、都の助成にも新築(未登記)の区分があります。ただし国と都の助成は、国の交付額が確定したあとに都へ事後申請する流れのため、併用できると言い切ることはできません。

年度またぎ事業の日程では国の額の確定が後ろにずれるため、都の受付期間に間に合うかは個別の確認が必要です。併用を考える場合は、国の額の確定の時期と都の受付期間を公社に確認しましょう。詳しくは国と東京都の併用の記事で解説しています。

よくある質問

Q. 既存マンションでも年度またぎ事業は使えますか?
A. 使えません。対象は竣工予定が2027年度の新築集合住宅だけです。既存マンションは対象外のため、国の次の募集や東京都・自治体の助成を確認してください。
Q. 申請はいつから始まりますか?
A. 経済産業省の概要では、申請受付は令和8年10月〜11月中旬の予定です。ただし2026年10月12日時点で受付開始日は公表されていません。次世代自動車振興センターの発表を確認してください。
Q. 管理組合ができる前でも申請できますか?
A. 新築の分譲で管理組合が発足していない場合は、管理組合の発足日を確認できる書類を提出する扱いが要件にあります。詳しくは今後公表される年度またぎ事業の手引きで確認してください。
Q. 予算4億円は1件あたりの上限ですか?
A. いいえ。4億円は事務費を含めた事業全体の配分です。1件あたりの上限ではなく、件数や1件あたりの額に割り算できる数字ではありません。

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まとめ

国の充電設備補助金(令和7年度補正)には、新築の集合住宅だけを対象にした年度またぎ事業があります。対象は申請時点で着工前か工事中で、竣工予定日が2027年度の共同住宅です。既存マンションは対象外です。

申請受付は令和8年10月〜11月中旬の予定ですが、2026年10月12日時点で申請の手引きと受付開始日は公表されていません。新築ならではの要件(販売事業者の財産処分の手続き、管理組合の発足前の書類、見積書の分け方、建物全体の設備が対象外になる点)を押さえ、手引きの公表を待ちながら準備を進めることが大切です。

既存マンションの方は、国の次の募集や東京都・自治体の助成を確認する選択肢があります。年度またぎ事業の受付期間は短く、要件も新築特有のため、早めの情報整理が判断を助けます。

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この記事を書いた人

集合住宅のEV充電設備について、国・自治体の公式資料にあたりながら、管理組合・管理会社の方が判断しやすい形で解説しています。補助金は年度ごとに変わるため、申請前に必ず公式の最新情報をご確認ください。

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