EVの普通充電器は3kWと6kWどちらを選ぶ?マンションでの選び方(充電時間・電気の容量・費用・補助)

結論

マンション(集合住宅)に普通充電器を付けるとき、業界団体のマニュアルの計算例では、1日100km走った分の充電は3kWで約4.8時間、6kWで約2.6時間です。夜間に充電するなら3kWでも足りる、とマニュアルは説明しています。ただし車が6kWに対応していないと、6kWの充電器でも3kWで充電されます。

同じ電気の容量なら3kWのほうが多くの台数を付けられます(マニュアルの試算では、12kW程度で3kWコンセント型なら4台、6kWケーブル付なら2台)。使う人数・走る距離・建物の電気の容量で選び、見積もりで比べるのが確実です。

この記事の補助金の情報は2026年10月13日時点のものです。申請前に公式ページで最新の内容を確かめましょう。

この記事でわかること

  • ●3kWと6kWの充電時間の違い(走行距離ごとの計算例)
  • ●6kWを選んでも速くならない場合
  • ●電気の容量・台数・費用の関係(業界団体の試算)
  • ●国と東京都の補助での出力の扱い

施工会社の提案書に「3kW」「6kW」という数字が並んでいて、どちらを選べばよいか判断できずに止まっている管理組合の理事・修繕委員の方は少なくありません。住民から充電器の要望が出て、理事会で説明しなければならない――けれど、速さ・費用・台数の関係がつかめないまま総会にかけるのは不安なものです。

この記事は、マンション(集合住宅)に普通充電器を付ける場合を前提に、3kWと6kWの違いを公的な資料の数字だけで整理します。充電時間・電気の容量・台数・費用・補助金の扱いを、どちらが正解かを押しつけずに、建物ごとに見積もりで比べる視点でまとめます。

こんな方にオススメ

  • ●施工会社から「3kW」「6kW」の提案を受けて違いを知りたい理事・修繕委員の方
  • ●住民の要望を受けて理事会・総会で説明する資料を準備している管理会社の担当者
  • ●電気の容量が足りるか、何台付けられるかを含めて検討したい方

マンションのEV充電設備は、補助金を使うと自己負担を大きく抑えられることがあります。対象になるか、無料で相談できます。

普通充電器の3kWと6kWとは

普通充電器とは、出力が3kWや6kWなどの充電設備で、壁付けタイプやスタンドタイプがあります。マンションの駐車場で車を長く止める場所での充電(基礎充電)に使われるのが、この普通充電器です。まず出力の基本を整理します。

管理組合の理事
管理組合の理事

そもそも3kWと6kWって、見た目や付け方は違うんですか?

EV充電アドバイザー
EV充電アドバイザー

コンセントタイプは最大3.2kWまで、6kWはケーブル付きの機種です。設備の種類は導入の全体像も参考になりますよ。

普通充電は基本的に単相200V

普通充電は基本的に単相200Vで行います。100Vでも充電できる車種もありますが、すべての車種が対応しているわけではないため、マンションには推奨されません。

マンションに設置する普通充電器は、この200Vのうえで3kWや6kWといった出力を選ぶことになります。出力の種類と設置方法の違いは、マンションのEV充電器導入の全体像で種類を整理しています。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」(2026年10月確認)

コンセントタイプとケーブル付きの違い

コンセントタイプは、日本の規格で最大出力(連続負荷)が3.2kWです。6kWで充電する設備は、ケーブル付普通充電器になります。

コンセントタイプは、車両に付属(またはオプション)の充電ケーブルで充電します。一方のケーブル付普通充電器は、令和3年度補正の国の補助では3kW〜6kW出力の機種が対象で、さらに高出力の充電器も市販されています。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」(2026年10月確認)

国の方針では3kWが大半

国の指針(2023年10月)では、普通充電は現在3kWが大半で、6kWや今後は10kWの導入も含め総出力を増強することが必要とされました。背景として知っておくと、提案書の読み方の参考になります。

この指針では、普通充電器の認証基準について、国際規格も踏まえて6kWまでを上限としていたため、23年度内に見直しを行い10kWにすることを目指すとされました(2023年10月時点の記述)。

出典:経済産業省「充電インフラ整備促進に向けた指針」(2023年10月)、指針PDF(2026年10月確認)

この記事の目次

充電時間はどれくらい違う?

充電時間は、マニュアルの計算例では、1日100km走った分が3kW充電で約4.8時間、6kW充電で約2.6時間です。走行距離ごとの数字で違いを見ていきます。

充電時間の比較(計算例)。1日50km:3kWは2.4時間、6kWは1.3時間。1日100km:3kWは4.8時間、6kWは2.6時間。車が6kW非対応なら3kWで充電。消費率155Wh/kmで計算
充電時間の比較(計算例・業界団体マニュアル 2022年)

走行距離ごとの充電時間

1日に走った分を充電する時間は、下の表のとおりです。これは、業界団体のマニュアルが、ある車の消費率(155Wh/km)で計算した例です(3kW充電は3.2kW、6kW充電は6kWとして計算)。

1日の走行距離3kW充電6kW充電
50km2.4時間1.3時間
100km4.8時間2.6時間

実際の充電時間は、車種・季節・使い方によって変わります。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」(表2-2)(2026年10月確認)

マニュアルの見方

マニュアルは「1日に100km走行したとしても、3kWの普通充電器でも夜間のうちに十分に充電が可能」と説明しています。

一方でマニュアルは、バッテリー残量ゼロからの充電時間だけでなく、外出先での充電器の利用も含めた電動車の使用実態を考慮したうえで選定することが必要、とも述べています。

つまり「夜間に何時間止められるか」「外出先の充電も使うか」といった実際の使い方で選ぶ、という考え方です。速さだけで決めるものではない、ということになります。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」(2026年10月確認)

6kWでも速くならないとき

マニュアルには「6kW充電器を用いても、車両側が6kW充電に対応していなければ3kW充電(車両の最大充電電力)となります」とあります。これが6kWを選んでも速くならないケースです。

POINT

6kWの効果を発揮するには、充電器と車の両方が6kWに対応している必要があります。住民の車・購入予定の車が6kWに対応しているかを、設置前に確かめることが大切です。

住民の使う車の対応出力は、要望の聞き取りのなかで確かめるとよいでしょう。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」(2026年10月確認)

電気の容量と台数で考える

複数台を付けるときは、同時にいくつ充電するかで必要な電力が決まります。同じ電気の容量なら、出力の小さい3kWのほうが多くの台数を付けられる、という関係が重要です。

管理組合の理事
管理組合の理事

速い6kWをたくさん付けたいんですが、電気って足りるんでしょうか?

EV充電アドバイザー
EV充電アドバイザー

出力が大きいほど1台あたりの電力も増えます。同じ容量なら3kWのほうが台数を増やせますよ。

電気の容量と台数の関係

普通充電器を複数台付けるときは、1台あたり3kWから6kWの充電器を同時にいくつ充電するかによって必要な電力が決まります。マニュアルの試算では、一定の容量を確保できるケースで、同じ12kW程度の容量で、3kWコンセント型なら4台、6kWケーブル付なら2台という比較が示されています(台数が違う点に注意してください)。

条件試算の金額(工事費用等・税込・補助前・2022年)
12kW程度を確保できるケースで、3kWコンセント型を4台、配線約30m(露出)約121万円
同じ条件で、6kWケーブル付を2台、配線約30m(露出)約193万円

この金額は、業界団体のマニュアル(2022年8月)が条件を決めて試算した例です。一定の条件に基づく概算見積もりで、同様の工事内容であっても工事費用等が大きく変動する可能性があります。

補助前・2022年時点の数字で、その後の物価の変化は反映されていません。相場や1台あたりの金額として読み替えないでください。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」(表5-1・モデルケース②)(2026年10月確認)

容量が足りないときの対処

電気の容量が足りないときは、幹線の引替えや変圧器の取替えで容量を上げる、専用の電気契約を別に結ぶ、といった方法があります。マニュアルは、既存の電気容量の余剰で足りる場合も含め、いくつかの取り方を示しています。

契約容量が50kVA以上になる場合は、高圧受変電設備(キュービクル等)が必要になり、工事費用が大きく変わります。出力や台数を増やすほど、必要な電力も大きくなります。電気工事の内容は、施工会社が現地で決めます。

複数台の同時充電を設定した容量に収める機能(デマンドコントロール)をもつ充電器を使えば、設備容量や契約容量を抑え、高圧受電化を避けられる場合もあります。工事の内容や費用の考え方は、EV充電工事の内容と期間やEV充電器の設置費用も参考になります。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」(2026年10月確認)

共用で使うときの目安

共用で使う場合、普通充電は時間がかかるため「一般的な使用頻度を考慮すると1充電設備に対して2人以下」が目安とされています。1台の充電器を何人で分け合うかを考えるときの参考です。

専用(特定の区画に1台)か、共用(複数の住民で分け合う)かで、必要な台数と出力の考え方が変わります。要望を出した住民が何人いるか、将来どのくらい増えそうかの見通しが、台数と出力の判断材料です。

自分のマンションに合う組み合わせを知りたい方は、かんたん診断で建物の条件を入力すると、検討の方向性をつかみやすくなるでしょう。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」(4章)(2026年10月確認)

補助金では出力はどう扱われる?

国・東京都とも、工事費の上限は設備の種類ごとに決まっていて、普通充電設備の3kW・6kWで区分は分かれていません。国の補助金では、予算を超えたときの選定で出力が使われます。

国の補助金(令和7年度補正)での扱い

国の補助金では、普通充電設備は、漏電遮断機能とコントロールパイロット機能をもつ、1基あたりの出力10kW以下のもので、充電コネクター・ケーブルなど一式を備えたものと定められています。令和7年度補正の第1期・第2期はすでに受付終了で、次の募集は未発表です。

申請額が予算を超えた場合は、充電設備の出力1kWあたりの補助金申請額が少ない申請から選ばれます。このとき、総出力6kW以上10kW以下の普通充電設備・コンセント・コンセントスタンドは6kW、6kW未満は「実際の充電時の総出力を考慮し」3kWとして扱われます。

第2期の普通充電(基礎)は申請額が予算を下回り、選定外の取消はありませんでした。第2期の普通充電(基礎)の申請は、1口あたりの平均出力が3.43kWでした。

なお、この「基礎」の区分にはマンションのほか月極駐車場・事務所等も含まれるため、マンションだけの平均ではありません。補助制度の全体像はEV充電器の補助金で解説しています。

出典:次世代自動車振興センター「令和7年度補正 申請の手引き」3-4、交付規程 第3条、第2期募集結果のお知らせ(2026年10月確認)

工事費の上限は出力で分かれていない

国・東京都のいずれも、工事費の上限は「普通充電設備」「コンセント(スタンド)」の区分で決まっていて、普通充電設備の3kW・6kWで工事費の上限の区分は分かれていません。上限の表は出力ごとではなく、設備の種類ごとに1つです。

東京都(居住者用・令和8年度)では、普通充電設備・コンセントスタンドの工事費の上限が1基目135万円・2基目以降68万円(機械式は171万円・86万円)です。この上限も、3kW・6kWで分かれていません。都の助成は2026年10月13日時点で受付中で、受付期限は令和9年3月31日17時、予算に達した日に受付が止まります。詳しくはクール・ネット東京の補助金で解説しています。

注意

「上限」は受け取れる額ではありません。「上限=もらえる額」と読み替えないでください。

出典:クール・ネット東京 居住者用 手引き(第4版)、クール・ネット東京 居住者用EV充電設備 事業ページ、次世代自動車振興センター 交付規程(2026年10月確認)

時間・台数・容量・補助の扱いがわかると、「うちの建物では何kWを何台付けられて、いくらか」を具体的に比べたくなります。建物の条件は一つひとつ違うため、出力と台数の組み合わせは見積もりで比べるのが確実です。

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入力は3分ほど。検討の初期段階でも大丈夫です。

選ぶときの4つの目安

3kWと6kWは「どちらが正解」ではなく、使い方・車・容量・費用の組み合わせで選びます。確かめることを4つに整理しました。

4つの確認項目

下の表の4点を確かめると、出力と台数の組み合わせを検討しやすくなります。どれか一つで決めるのではなく、組み合わせで見るのがポイントです。

確かめること考え方
①使う人数(専用か共用か)共用は1充電設備に対して2人以下が目安。必要な台数を見積もる
②1日の走行距離と夜間に止める時間マニュアルは、1日100km走っても3kWで夜間のうちに十分に充電できると説明
③住民の車の対応出力6kW非対応なら6kW充電器でも3kW。要望の聞き取りで確認
④建物の電気の容量と費用同じ容量なら3kWのほうが台数を増やせる。容量を上げる工事が必要になると工事費用が大きく変わる場合がある

機械式駐車場に設置する場合は、設置方法や工事の制約が変わります。詳しくは機械式駐車場への設置も確認しておくとよいでしょう。

住民の要望の聞き方と決める場

出力と台数を決めるには、住民の要望を具体的に聞き取ることが出発点になります。何人が使いたいか、どんな車に乗るか(6kW対応か)、どのくらい走るかがわかると、必要な台数と出力が見えてきます。

住民から「EVを買いたい」と相談を受けたときの対応は住民から「EVを買いたい」と言われたら、理事会への提案の進め方は理事会への提案の仕方が参考になります。

設置を決めるには、理事会での合意や総会での決議が必要です。決議の進め方は総会決議・理事会合意で整理しています。出力や台数が固まったら、導入の見積もりで複数の組み合わせを比べると判断しやすくなります。

よくある質問

Q. 6kWなら充電時間は半分になる?
A. 車が6kWに対応していれば、マニュアルの計算例で1日100km分が4.8時間から2.6時間に短くなります。ただし車が6kWに対応していなければ、6kWの充電器でも3kWで充電されます。
Q. マンションは3kWで足りる?
A. マニュアルは「1日100km走行したとしても、3kWの普通充電器でも夜間のうちに十分に充電が可能」と説明しています。ただし使い方や共用で何人が使うかによって変わります。外出先の充電も含めた使用実態で判断するのがよいとされています。
Q. 6kWのほうが補助金は多い?
A. 国・東京都とも、工事費の上限は出力で分かれていません。購入費の国の上限は型式ごとに決まっています。実際の補助額は見積もりの審査で決まるため、出力による有利・不利は一概に言えません。
Q. 3kWを付けて、あとから6kWにできる?
A. 配線や電気の容量しだいです。将来の増設も含めて、現地調査で相談するのが確実です。導入の見積もりで将来計画も含めて確認できます。

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まとめ

マンションに普通充電器を付けるとき、3kWと6kWは「どちらが正解」ではなく、使い方・車・電気の容量・費用の組み合わせで選ぶものです。業界団体のマニュアルの計算例では、1日100km分の充電は3kWで約4.8時間、6kWで約2.6時間。マニュアルは、1日100km走っても3kWで夜間のうちに十分に充電できると説明しています。

一方で、車が6kWに対応していなければ6kWの充電器でも3kWで充電される点、同じ容量なら3kWのほうが台数を増やせる点、国・都とも工事費の上限は出力で分かれていない点が、判断の重要な材料です。

EV充電のこれから相談室では、建物の電気の容量・住民の使い方・補助金の条件をふまえて、出力と台数の組み合わせを見積もりで比べる相談を無料で承っています。「うちの建物では何kWを何台付けられて、いくらか」を具体的に比べたい方は、まず建物の条件を整理するところから始めてみてください。

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この記事を書いた人

集合住宅のEV充電設備について、国・自治体の公式資料にあたりながら、管理組合・管理会社の方が判断しやすい形で解説しています。補助金は年度ごとに変わるため、申請前に必ず公式の最新情報をご確認ください。

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