マンションのEV充電工事とは?工事の内容・流れ・費用が変わる条件と補助の対象

結論

マンション(集合住宅)のEV充電工事とは、充電器の基礎・据付、専用の配線と配管、ブレーカー・盤、必要に応じて引込みや受変電設備などを行う工事です。工事の大きさは「電気をどこから取るか」「配線の距離と経路」「充電器の形」「駐車場の形」で大きく変わります。業界団体の2022年の試算では、条件によって約46万円から約3,104万円まで幅があります(補助前・相場ではありません)。

この記事の補助金の情報は2026年10月7日時点のものです。申請前に公式ページで最新の内容をご確認ください。

この記事でわかること

  • ●マンションのEV充電工事の中身(工事項目の一覧)
  • ●工事の大きさと費用を変える4つの条件
  • ●補助の対象になる工事・ならない工事と見積書の読み方
  • ●工事の前後の手続きと期限

マンションでEV充電の導入を検討していて、見積書や工事の説明を受けたものの、中身がよく分からないと感じていませんか。理事会や総会で説明する立場にあると、「この工事項目は何か」「なぜこの金額なのか」を自分の言葉で説明できることが欠かせません。

EV充電の工事は、同じ「普通充電器1台」でも、電気の取り方や配線の経路で中身がまるで変わります。この記事では、マンション・集合住宅の工事に絞り、工事項目の一覧、費用を変える条件、補助の対象になる工事とならない工事、工事の前後の決まりを、国と東京都の資料をもとに整理します。

なお「ev 充電 工事」は戸建ての自宅工事を探す方も多いテーマですが、この記事はマンション・集合住宅の工事に限って解説します。戸建ての工事費用や期間は扱いません。

マンションのEV充電設備は、補助金を使うと自己負担を大きく抑えられることがあります。対象になるか、無料で相談できます。

マンションのEV充電工事は何をする?

マンションのEV充電工事は、大きく分けて「充電設備の設置工事」「付帯工事」「その他」の3つで構成されます。国の補助金の申請の手引きには、対象となる工事項目が細かく分類されており、これを見ると工事の全体像がつかめます。

充電設備の設置工事

充電設備の設置工事とは、充電器本体を固定して電気を届けるまでの中心的な工事です。基礎・据付、搬入、配線、通信線、配管、ブレーカー・盤など、多くの項目が含まれます。

これだけ項目が多いのは、充電器を「置く」だけでなく、電気を安全に運ぶ経路をつくる必要があるためです。駐車場までの距離や電気の取り方によって、必要な項目が増減します。

工事内容(手引きの説明の要約)
基礎・据付工事充電器本体を固定する基礎(コンクリート基礎・金属架台・アンカー固定等)と据付。重機のレンタル費も含む
搬入・運搬工事充電器本体等の設置場所までの搬入・運搬
電気配線工事充電設備専用のケーブル・アース線(幹線を含む)
通信線工事通信機能を備えた充電器に必要な通信線
配管工事ケーブルを保護する配管(金属製・合成樹脂製)
ブレーカー・開閉器盤設置工事充電設備用のブレーカーと、それを収める盤
掘削・埋設・ハンドホール工事配線のための掘削・埋設・埋戻し。長距離を埋設するためのハンドホール
建柱工事引込みや架空配線のための電柱
デマンド工事契約電力を超えないよう需要を監視して充電を制御する機器の設置
課金デバイス工事使用料を徴収する機能をもつ機器の設置
高圧受変電設備設置工事いまの受変電設備では充電器を動かせない場合に、必要な分だけ増設・新設する受変電設備
特別措置に基づく受電工事同一敷地内で別の電力契約をする「特別措置」で、一般送配電事業者が請求する工事負担金

付帯工事

付帯工事とは、充電スペースを使いやすく安全にするための周辺の工事です。充電スペースのライン引き、路面表示、屋根または小屋、充電設備の防護用部材、電灯などが含まれます。

これらは充電器そのものではありませんが、利用者が迷わず安全に充電するために欠かせません。たとえば路面表示があれば「EV専用の区画」が一目で分かり、防護用部材は車の接触から充電器を守ります。

その他の工事項目

その他には、工事を進めるための準備や調整にかかる費用が含まれます。養生費、雑材・消耗品、図面作成費、レイアウト検討費、電力会社立会・協議費、安全誘導員費、現場監督等の労務費などです。

見積書を見ると、こうした項目が意外と多くの行を占めることがあります。これは、マンションの工事が「電力会社との協議」や「現場の安全管理」を伴う、建物全体にかかわる工事だからです。項目の意味を知っておくと、見積書の比較がしやすくなります。

出典:令和7年度補正 クリーンエネルギー自動車 充電設備 申請の手引き(次世代自動車振興センター)(2026年10月確認)

導入の全体像から知りたい方は マンションにEV充電器を付けるには も参考になります。

この記事の目次

工事の大きさを決める4つの条件

EV充電工事の費用は、充電器の台数だけでは決まりません。電気の取り方・配線の経路・充電器の形・駐車場の形という4つの条件で、工事の中身が大きく変わります。順に見ていきます。

管理組合の理事
管理組合の理事

同じ1台なのに、見積もりで金額が全然違うんです。なぜでしょう?

EV充電アドバイザー
EV充電アドバイザー

電気を電気室のどこから取るか、そこから駐車場まで何メートルあるかで、配線や盤の工事が変わるんです。建物ごとに答えが違います。

電気をどこから取るか

電気の取り方で、工事の規模が最も大きく変わります。契約容量が50kVA以上になる場合は高圧受変電設備(キュービクル等)が必要になり、工事費用が大きく変わります(電気事業法および電気設備に関する技術基準を定める省令により、受電電力50kW以上は自家用電気工作物として高圧受電が求められます)。

マンションの電気の取り方は、おおむね3つです。既存の電気容量の余剰で足りる場合は比較的軽い工事で済みます。足りなければ幹線の引替えや変圧器の取替えで容量を上げる方法、同一敷地内で充電設備用に別の電気契約をする「特別措置」を使う方法があります。

台数が増えて共用部の電気容量が不足する見込みになると、受変電設備の増強や電力契約の見直しの検討が必要になる場合があります。具体的な判断は電力会社や施工会社にご確認ください。なお、複数台の同時充電を設定容量に収める「デマンドコントロール」機能をもつ充電器を使えば、容量の抑制や高圧受電化の回避ができる場合もあります。容量が足りないと言われたときの選択肢は 電気の容量が足りないとき で詳しく解説しています。

配線の距離と経路

電気室などから充電器の設置位置までの距離と経路で、配線・配管の工事量が変わります。経路には「露出」「架空」「埋設」の3通りがあります。

距離が長く、埋設で配線する場合は、掘削・埋戻し・ハンドホールの工事が加わり、工事量が増えます。壁や天井に沿わせる露出配線で届く範囲なら、比較的シンプルに収まります。設置位置と電気室の位置関係は、現地調査で確認すべき重要なポイントです。

充電器の形

充電器の形でも費用は変わります。普通充電は基本的に単相200Vで、コンセントタイプの最大出力(連続負荷)は日本の規格で3.2kW、ケーブル付の普通充電器は3〜6kWなどです。

外壁や柱などがあれば、壁掛け(壁付け)型を使用した方が一般的に設置費用を抑えることができます。基礎の工事が小さく済むためです。3kWと6kWの違いは 3kWと6kWの選び方コンセントと充電器の違いは EVコンセントと充電器の違い を参考にしてください。

駐車場の形

駐車場が平面か機械式かでも、工事の進め方が変わります。機械式駐車場にEV充電器を設置する場合は、対応の可否についてメーカーへの確認が必要です。技術的な要件は設備の種類やメーカーによって異なります。

機械式はパレットの昇降や充電ケーブルの取り回しなど、平面にはない検討事項があります。設置の可否や方法はメーカー確認が前提です。

以下は、業界団体のマニュアルに掲載された試算の例です。2022年・補助前・条件つきの概算であり、相場ではありません。同じ工事内容でも費用は大きく変動しうる点に注意してください。

モデル条件試算額
①軽い例共用部の分電盤から3kWコンセント1台・配線約20m露出約46万円
②大きい例特別措置で高圧受電・6kWケーブル付10台・埋設約60m約3,104万円

このように、条件次第で工事費は大きく変動します。機械式駐車場への設置は 機械式駐車場への設置費用の考え方は EV充電器の設置費用 をあわせてご確認ください。

出典:既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル(一般社団法人マンション修繕施工協会(MSIA)/国土交通省サイト掲載)(2026年10月確認)

補助の対象になる工事・ならない工事

補助の対象になる工事・ならない工事 充電設備設置工事 1位 付帯設備設置工事 2位 その他 3位

国の補助で対象になる工事

国の補助で対象になるのは、充電設備設置工事・付帯設備設置工事・その他の各項目です。工事費には上限額が設定されており、詳細は下記出典の上限額表でご確認ください。上限の詳細は下記出典の上限額表でご確認ください。

ただし、令和7年度補正の第1期・第2期は受付終了しています。

次の募集の有無は公式の発表を待つ必要があり、「毎年ある」とは言い切れません。補助金の全体像は EV充電器の補助金 で解説しています。

出典:令和7年度補正 充電設備 工事費の上限額表(次世代自動車振興センター)(2026年10月確認)

対象にならない工事の例

一方で、国の補助の対象にならない工事もあります。代表的なのは、将来用の配線配管、既設駐車スペースのアスファルト舗装、既存物の撤去・移設・処分などです。

ほかにも、充電器の稼働試験、監視カメラ等の防犯システム、消火器等の防災設備、一般管理費・現場管理費・申請手続代行費、変圧器の交換工事なども対象外です。将来に備えた配管については、東京都の先行工事の補助が利用できる場合があります。

国の補助で対象になりやすい工事対象にならない工事の例
  • ●基礎・据付、搬入
  • ●電気配線・通信線・配管
  • ●ブレーカー・盤、掘削・埋設
  • ●受変電設備、デマンド・課金機器
  • ●将来用の配線配管
  • ●既設スペースの舗装
  • ●撤去・移設・処分
  • ●防犯カメラ、申請手続代行費

東京都の助成での注意点

東京都の助成を使う場合は、国とは別の注意点があります。見積書・請求書の内訳は、公社の内訳書テンプレートを使い、部材費と人件費(人工×単価)に分ける必要があります。

東京都の助成では、設置方法や駐車場の種類によって助成対象外となる工事項目があります。詳細はクール・ネット東京の手引きでご確認ください。

都の助成の詳細は 東京都の補助金 と クール・ネット東京の補助金 をご確認ください。国と都の併用は 国と東京都の補助金の併用 で整理しています。

出典:クール・ネット東京 充電設備普及促進事業(居住者用)手引き 第4版(2026年10月確認)

自分のマンションでどんな工事になりそうか知りたい方は かんたん診断 を、工事の範囲をそろえた見積もりを比べたい方は 導入の見積もり をご利用ください。

EV充電設備の導入を、無料で相談・比較

  • 補助金の対象になるか確認できる
  • 複数社の提案・見積もりを比べられる
  • 理事会・総会向けの資料づくりも相談できる

入力は3分ほど。検討の初期段階でも大丈夫です。

工事の前後の流れと期限

工事の前後の流れと期限 1 交付決定 2 発注・着工 3 工事施工 4 報告

補助金を使う工事では、「いつ発注・着工してよいか」「いつまでに報告するか」という期限の決まりが重要です。これを守らないと補助の対象外になることがあります。

交付決定の前に発注・着工しない

最も大切な決まりは、交付決定の前に発注・着工しないことです。これを破ると補助の対象外になります。

国の補助では、充電設備の発注と工事の施工開始は交付決定日後と定められています。この「施工開始」には、充電設備の搬入や基礎工事などの準備も含まれる点に注意が必要です。契約を急いで交付決定前に動いてしまうと、せっかくの補助が受けられなくなります。

工事が終わったら支払と実績報告

工事が終わったら、支払と実績報告を期限内に行います。国は工事または支払い完了から30日以内を目処とし、最終期限(令和7年度補正 第2期(普通)は令和9年1月29日)を過ぎると受け付けません。

東京都の事前申請の場合は、交付決定日の翌日から1年以内(パレット更新経費がある場合は2年以内)に工事・支払・実績報告まで終える必要があります。工事そのものの日数は現地の条件で変わるため、スケジュールは現地調査のあとに事業者と確認しましょう。相談から運用開始までの全体像は 相談から運用開始までの流れ で解説しています。

工事に関係する法令

EV充電工事には、複数の法令が関係します。東京都の手引きによれば、建設業法、電気事業法、電気工事士法、電気設備に関する技術基準を定める省令、建築基準法、消防関係法令などが関わります。

必要な許可・資格・届出を欠いた場合は、助成対象外や交付決定の取消しになることがあります。だからこそ、こうした法令に対応できる施工会社を選ぶことが大切です。

施工会社の選び方は 施工会社の選び方 を参考にしてください。なお、工期が長くなりやすい新築集合住宅などには、国が年度またぎの別枠を設けています(新築マンションの年度またぎ補助金)。

出典:令和7年度補正 充電設備 申請の手引き(次世代自動車振興センター)/クール・ネット東京 手引き 第4版(2026年10月確認)

よくある質問

Q. 工事は何日かかりますか?
A. 工事期間の公的な目安はありません。引込みや受変電設備、埋設の有無など、工事の内容によって変わります。日程は現地調査のあと、事業者に確認してください。
Q. 工事中に停電はありますか?
A. 停電の有無や時間は、工事の方法と建物の電気設備によって異なります。一般的な答えを示すことは難しいため、工事の方法と影響をあらかじめ事業者に確認することをおすすめします。
Q. コンセントと充電器で工事は違いますか?
A. 機器の形と出力が違うため、工事の内容も変わります。コンセントタイプは最大3.2kW、ケーブル付の充電器は3〜6kWなどです。なお国の補助では、同じ駐車場での併設はできません。詳しくは EVコンセントと充電器の違い をご覧ください。
Q. 電気の容量が足りないと言われたら?
A. 容量アップ(幹線の引替え・変圧器の取替え)、特別措置での別契約、受変電設備の設置などの選択肢があります。デマンドコントロールで容量を抑える方法もあります。詳しくは 電気の容量が足りないとき をご覧ください。

EV充電設備の導入を、無料で相談・比較

  • 補助金の対象になるか確認できる
  • 複数社の提案・見積もりを比べられる
  • 理事会・総会向けの資料づくりも相談できる

入力は3分ほど。検討の初期段階でも大丈夫です。

まとめ

マンションのEV充電工事は、充電器の基礎・据付、専用の配線と配管、ブレーカー・盤、必要に応じて引込みや受変電設備などで構成されます。工事の大きさは、電気の取り方・配線の経路・充電器の形・駐車場の形という4つの条件で大きく変わります。

補助金を使う場合は、対象になる工事とならない工事を見積書で見分けること、そして交付決定の前に発注・着工しないことが重要です。業界団体の試算では条件によって幅が大きく、正確な金額は建物ごとの現地調査と見積もりでしか分かりません。

EV充電のこれから相談室では、工事の範囲をそろえて複数社の見積もりを比べたい管理組合・管理会社・オーナーの相談を無料で受け付けています。見積書の項目の意味や補助の対象が分かったうえで、自分のマンションに必要な工事を整理したい方に向いています。まずは かんたん診断 で、おおよその工事の方向性を確認してみてください。

建物の条件を入れるだけ。導入の進め方と見積もりを無料で相談

  • 相談は無料
  • 管理組合・管理会社どちらでも
  • 選んだ会社以外から連絡なし
STEP 1 建物の種類を選んでください
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

集合住宅のEV充電設備について、国・自治体の公式資料にあたりながら、管理組合・管理会社の方が判断しやすい形で解説しています。補助金は年度ごとに変わるため、申請前に必ず公式の最新情報をご確認ください。

この記事の目次