結論
マンションのEV充電器設置は、①情報収集 → ②事業者の現地調査・見積もり → ③総会等での承認 → ④補助金の申請 → ⑤交付決定後に工事・運用開始・実績報告 → ⑥補助金の受取と維持管理、の順に進みます(東京都の手順)。国・東京都とも「交付決定の前に発注・着工しない」のが決まりです。見積もりは複数の事業者から同じ条件で取り、総会の日程と補助金の受付期間をそろえて計画しましょう。
この記事の補助金の情報は2026年10月12日時点のものです。申請前に公式ページで最新の内容をご確認ください。
この記事でわかること
- ●相談から運用開始までの6ステップと、各段階で管理組合が決めること
- ●補助金の手続きの順番と期限(国・東京都)
- ●最初の現地調査で確かめること(電気の取り方・駐車場の形・利用方法)
- ●無料で使える公的な相談先
この記事では、6ステップの全体像と「交付決定前の着工禁止」という最重要ルールを先にお伝えします。マンション・集合住宅向けの内容です。戸建て住宅への自宅工事とは手順が異なりますのでご注意ください。
EV充電器の設置は、事業者を決めて工事を発注するだけでは完結しません。補助金の申請、総会での承認、実績報告まで含めると、関係する手続きは幅広くなります。全体の流れを先に把握しておくことで、総会のスケジュールや補助金の期限を見通しながら計画を立てやすくなります。
マンションのEV充電設備は、補助金を使うと自己負担を大きく抑えられることがあります。対象になるか、無料で相談できます。
マンションのEV充電器設置は6ステップ
導入の全体像はEV充電器の導入ガイド(マンション向け)でも整理していますが、東京都が公表している手順をもとに、6段階の流れをまず把握しておきましょう。

| ステップ | 管理組合がすること |
|---|---|
| STEP 1 情報収集 |
オンラインセミナーや相談会に参加。東京都のアドバイザー無料派遣を活用。導入事例・Q&Aで全体像を把握する |
| STEP 2 現地調査・見積もり |
希望する設置規模・所有形態・運用方法に応じた事業者を選び、できるだけ多くの事業者から見積もりを取る |
| STEP 3 総会等で承認 |
検討初期から継続的に合意形成を進め、設置場所・口数・費用負担・利用料・使用細則を総会で決議する |
| STEP 4 補助金を申請 |
原則として総会での承認後、工事発注前に申請する。国と都では申請のタイミングと窓口が異なる |
| STEP 5 工事・運用・実績報告 |
交付決定通知書を受け取ってから工事を発注・着工する。工事完了後に運用を開始し、期限内に実績報告を提出する |
| STEP 6 受取・維持管理 |
審査後に補助金が振り込まれる。交付決定通知書等を5年間保管し、保守契約・利用料の運用を継続する |
CAUTION
この手順は東京都の補助金のみを活用する場合のものです。国の補助金と組み合わせる場合は申請の順番が異なります。詳しくは国と都の補助金を併用する方法をご覧ください。
出典:東京都マンションEV充電器情報ポータル「EV充電器設置の手順」(2026年10月確認)
ステップ1〜2:情報収集と現地調査・見積もり
検討の最初の段階では、自分のマンションで設置が可能かどうかを確かめることが先決です。電気の取り方・駐車場の形・充電器の使い方、この3点が設置の方向性を左右します。

事業者に連絡する前に、管理組合として何を決めておけばいいですか?

まず「電気をどこから取るか」「駐車場の形式」「誰がどう使うか」の3点を把握してから事業者に相談すると、見積もりの比較がしやすくなります。東京都のアドバイザー派遣を最初の整理に使うのもよい方法です。
最初に確かめる3つ
確かめる3点は①電気の取り方 ②駐車場の形式 ③充電器の使い方です。
① 電気をどこから取るか。共用部の分電盤や受変電設備(建物で電気を受けて電圧を変える設備・キュービクル)から取る方法と、新たに配電線から引き込む「特別措置」の2つがあります。
令和3年4月1日施行の電気事業法施行規則等の改正(経済産業省、2021年3月31日公表)により、普通充電器でも同一敷地内で別の電力契約(特別措置)を結べるようになりました。マンション全体が低圧引込みであれば(おおよそ20世帯程度以下が目安)、普通充電器1台程度なら設置できる可能性がありますが、複数台を設置する場合は特別措置の検討が必要になります。
② 駐車場の形式。平置き駐車場と機械式駐車場では対応が異なります。
機械式駐車場の場合は、駐車場のメーカーへ対応の可否を個別に問い合わせる必要があります。
③ 充電器の使い方。「専用(特定の住戸専用)」「共用(複数人で使い回す)」「カーシェアリング」の3種類があります。
共用の場合、普通充電器は1台あたり2人以下が利用の限界と国土交通省のマニュアルに示されています(一般的な使用頻度を想定した場合)。利用者数の見込みに合わせて設置台数を計画しましょう。
出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」(2022年8月、国土交通省サイト掲載)(2026年10月確認)
見積もりは複数の事業者から
東京都のポータルサイトには、「できるだけ多くの事業者からお見積りをとられることをおすすめします」と明記されています。設置規模・所有形態・運用方法によって最適な事業者は異なるため、同じ条件を複数社に提示して比較することが重要です。
費用の例
費用は設置条件によって大きく変わります。以下は公的な資料に記載された試算・事例の一部です。相場ではなく、あくまで一定条件に基づく概算であり、同様の工事内容でも実際の金額は大きく変動します。
| 例 | 金額(参考) | 主な条件 | 出典・時点 |
|---|---|---|---|
| 東京都ポータルの費用イメージ | 税抜406万円のうち都の助成347.5万円(約86%) | 平置きにコンセント9基・都の補助のみ・2025年度の制度 | 東京都ポータルQ&A(2026年10月確認)。令和8年度に同額が出るとは限らない |
| 業界団体の試算① | 約46万円(補助前) | 共用部の分電盤から3kWコンセント1台・配線約20m露出・2022年試算 | 国土交通省掲載マニュアル 表5-1(2026年10月確認) |
| 業界団体の試算③※ | 約1,192万円(補助前) | 特別措置で低圧引込み・3kWコンセント10台・架空配線約60m・2022年試算 | 国土交通省掲載マニュアル 表5-1(2026年10月確認) |
INFO
上記はいずれも一定の条件に基づく概算見積もりです。同様の工事内容でも実際の費用は大きく変動する可能性があります(マニュアルより)。
※「試算①」「試算③」はマニュアル表5-1の番号をそのまま表記しています。表5-1には試算②も掲載されていますが、この記事では条件の異なる代表例のみを抜粋しています。
試算を相場として参照したり、1基あたりに単純に割り算して判断したりすることは避けてください。費用のより詳しい解説はマンションのEV充電器導入費用をご覧ください。
同じ条件で複数社の見積もりを取りたい方は、無料の一括見積もり・相談窓口をご利用ください。
自分のマンションで何から始めるか迷う方は、かんたん診断で確認できます。
EV充電設備の導入を、無料で相談・比較
- 補助金の対象になるか確認できる
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入力は3分ほど。検討の初期段階でも大丈夫です。
ステップ3:総会等で承認を得る
充電設備の設置に当たっては、設置に関する総会決議や費用負担の取り決めが不可欠です(国土交通省マニュアルより)。合意形成は「検討初期の段階から総会等での議決まで、継続的に行う必要があります」と東京都のポータルにも明記されています。総会の直前になってから住民に説明しようとすると、合意形成が難しくなる場合があります。

補助金の申請は総会の前でも後でもいいですか?

国の補助金は交付申請の時点で「総会決議」または「理事会合意」の書類が必要です。東京都も原則として総会承認後、工事発注前に申請します。補助金の申請は総会の後が基本と考えてください。
国の補助金(次世代自動車振興センター経由)を利用する場合、分譲マンションでは交付申請時に「住民総会での決議」か「理事会での合意」を証明する書類が必要になります。詳しくは総会決議の進め方をご覧ください。
総会で決めておくべき主な事項は次のとおりです。
- 設置場所と充電器の口数
- 初期費用の負担方法(修繕積立金からの支出か、利用者負担か)
- 月々の利用料の水準と徴収方法
- 使用細則の制定または改正
出典:東京都マンションEV充電器情報ポータル Q&A(2026年10月確認)
ステップ4〜5:補助金の申請から工事・運用開始まで
補助金の手続きでもっとも大切なルールが、「交付決定の前に発注・着工しない」という点です。国・東京都のどちらの補助金でも共通する決まりです。このルールを知らずに工事を始めてしまうと、補助金を受け取れなくなります。
交付決定の前に発注・着工しない
国の申請の手引きには次のように明記されています。「全ての事業において充電設備の発注および設置工事の施工開始は交付決定日後に行う必要があります。
設置工事の施工開始とは、充電設備の搬入や充電設備等設置の基礎工事などの準備や充電設備等設置工事の一部または全部の施工の開始のことをいいます。」この「施工の開始」には機器の搬入や基礎工事の準備も含まれることに注意が必要です。
CAUTION
「とりあえず工事の準備だけ始める」という行動も施工の開始とみなされる場合があります。交付決定通知書を受け取るまでは、発注・搬入・着工のいずれも行わないことが国・都共通の決まりです。
出典:令和7年度補正 充電設備補助金 申請の手引き(次世代自動車振興センター)(2026年10月確認)
国の流れ(令和7年度補正の例)
国の補助金(経済産業省所管・次世代自動車振興センター)の手続きは、オンラインでのアカウント登録から始まります。令和7年度補正の第1期・第2期は、いずれも申請の受付が終了しています(実績報告の最終期限は、普通充電で第1期が令和8年11月30日13時、第2期が令和9年1月29日)。新築集合住宅だけを対象にした年度またぎ事業(受付は令和8年10月〜11月中旬の予定)は、既存マンションは対象外です。
既存マンション向けの次の募集は未発表です。最新の状況はEV充電器補助金の最新情報でまとめています。
令和7年度補正を参考に手続きの流れを示すと、次のとおりです。
- 交付申請(オンライン・アカウント登録が必要)
- 選定審査(先着順ではない。申請期間終了後に、kWあたりの補助金申請額が少ない順などの基準で選定)
- 受付・審査
- 交付決定通知書の受領(ここから初めて発注・着工が可能になる)
- 発注・設置工事の施工開始
- 工事完了・支払の完了
- 実績報告(工事または支払い完了の日から30日以内を目処に提出。最終報告期限を過ぎると受け付けられない)
- 額の確定(補助金額確定通知書)
- 補助金の交付(申請者名義の口座へ振込)
補助金は上限額が受け取れるとは限りません。実際に受け取れる金額は、経費の実績と国が定める補助率・上限で決まります。
東京都の流れ(令和8年度)
東京都の補助金(クール・ネット東京)は、令和9年3月31日(水)17時が受付の期限です。先着順に受理・審査され、予算額に達した時点で受理が停止されます。申請から審査・交付決定までの期間は状況によって異なるため、余裕をもったスケジュールで計画しましょう。
東京都の補助金だけを使う場合(事前申請)は、交付決定日の翌日から1年以内(機械式駐車場のパレット更新経費の交付決定がある場合は2年以内)に工事・支払・実績報告までを完了させる必要があります。「事業の完了」とは、施工工事と経費の支払(金融機関の振込)がすべて終わった時点を指します。期限内に終わらない場合は交付決定が取り消されることがあります。
出典:クール・ネット東京 充電設備普及促進事業(居住者用)手引き(第4版)(2026年10月確認)
東京都の補助金の内容については東京都のEV充電器補助金まとめをご覧ください。
国と都を併用するなら「国が先、都はあと」
国と東京都の補助金を両方受ける場合、都への申請は国の交付額確定通知書を受け取った後事業完了日の翌日から1年以内に行う事後申請の形になります。「国補助金と同時に申請することはできません」と都の手引きに明記されています。両方の申請をどのように進めるかは、国と都の補助金を併用する方法で整理しています。
ステップ6:補助金の受取と運用・維持管理
実績報告の審査が完了すると、国からは申請者名義の口座へ補助金が振り込まれます。交付決定通知書と額の確定通知書は、設置完了から5年間の保有義務期間にわたって書面で保管することが求められています。
保有義務期間(5年間)の間は充電設備を維持・管理する必要があります。
運用面では、利用料の徴収・精算の仕組みを整えることも大切です。
東京都の補助金には、設置後のランニングコスト(新たに電力契約を結んだ場合の電気の基本料金)への助成も設けられています。上限・条件などは東京都のEV充電器補助金まとめで整理しています。
よくある質問
EV充電設備の導入を、無料で相談・比較
- 補助金の対象になるか確認できる
- 複数社の提案・見積もりを比べられる
- 理事会・総会向けの資料づくりも相談できる
入力は3分ほど。検討の初期段階でも大丈夫です。
まとめ
マンションへのEV充電器設置は、①情報収集 → ②現地調査・見積もり → ③総会等での承認 → ④補助金の申請 → ⑤交付決定後に工事・運用開始・実績報告 → ⑥補助金の受取と維持管理、という6段階で進みます。
手続き全体を通じてもっとも重要な点は、交付決定通知書を受け取る前に発注・着工をしないことです。機器の搬入や基礎工事の準備も「着工」に含まれる場合があるため、国・都ともこの決まりを確認したうえで工事の日程を計画してください。
また、東京都の補助金(令和8年度)の受付期限は令和9年3月31日(水)17時ですが、予算額に達した時点で受理が停止されます。総会の日程と補助金の期限は早めに照合しておきましょう。
国の補助金については、令和7年度補正の第1期・第2期は受付終了しており、次の募集は未発表です。最新情報は各公式ページでご確認ください。
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