マンションのEV充電器は総会決議?理事会合意?補助金の要件と議案で決めること

結論

国の補助金で分譲マンションにEV充電器を設置するには、交付申請の時点で「住民総会での決議」か「理事会での合意」が必要です。理事会の合意で申請する場合は、議事録に総会の開催予定日を書きます。

国土交通省の標準管理規約コメントでは、加工の程度が小さい充電設備の工事などは「普通決議により実施可能と考えられる」とされています。実際の決議の種類は、工事の内容と自分のマンションの管理規約で確かめましょう。

この記事の補助金・制度の情報は2026年10月12日時点のものです。申請前に公式ページで最新の内容をご確認ください。

この記事でわかること

  • ●国の補助金が求める「総会決議・理事会合意」と議事録の書き方
  • ●普通決議・特別決議の考え方(法律と標準管理規約コメント)
  • ●総会で一緒に決めておきたい費用負担・利用ルール
  • ●合意形成を進めるときに使える公的な支援

住民からEV充電器の設置要望が出たものの、「総会にかけるべきか、理事会で決めてよいのか分からない」と悩んでいませんか。マンションの共用部分に関わる工事は、自分ひとりでは決められません。決議の手続きを間違えると、せっかくの補助金申請が通らないこともあります。

この記事では、国の補助金が求める決議・合意のかたち、議事録に書くべき項目、総会で一緒に決めておきたいことを、公式の出典にもとづいて整理します。導入全体の流れはマンションにEV充電器を付けるにはもあわせてご覧ください。

マンションのEV充電設備は、補助金を使うと自己負担を大きく抑えられることがあります。対象になるか、無料で相談できます。

国の補助金は「総会決議」か「理事会合意」が必要

国の補助金を分譲マンションで使うには、交付申請の時点で決議か合意の証明が求められます。ここでは必要な書類と、議事録に書くべき項目を整理します。制度の全体像はEV充電器の補助金もご参照ください。

管理組合の理事
管理組合の理事

補助金を使うには、申請の前に総会を開かないといけないんですか?

EV充電アドバイザー
EV充電アドバイザー

総会決議が基本ですが、間に合わないときは理事会の合意でも申請できます。その場合は議事録に総会の開催予定日を書きます。

交付申請の時点で必要

国の補助金では、分譲済のマンション等は交付申請の時点で「住民総会での決議」か「理事会での合意」が必要です。これは令和7年度補正の交付規程・申請要件にもとづく取り扱いです。工事を発注する前の段階で、組合としての意思決定が求められます。

その理由は、補助金が建物の共用部分に関わる工事を対象とするためです。管理組合の正式な意思決定なしに申請はできません。次の募集では要件が変わる可能性があるため、新しい年度の要件は公表後に必ず確認しましょう。

出典:令和7年度補正 交付規程/申請要件(2026年10月確認)

議事録に書くこと

申請で出す議事録には、決まった記載項目があります。総会の場合と理事会の場合で必要な項目が異なります。下の表は国の申請の手引きにもとづく必須項目です。

総会の場合理事会の場合(総会が間に合わないとき)
議事録の作成日議事録の作成日
総会の開催日理事会の開催日
マンション等の名称(略称不可)設置場所名称(略称不可)
充電設備の設置が総会で承認されたことの記載充電設備の設置が理事会で承認されたことの記載
—住民総会の開催予定日

名称は略称が使えない点に注意が必要です。正式名称をそのまま記載しましょう。理事会で申請する場合は、総会の開催予定日を忘れず書きます。

出典:令和7年度補正 申請の手引き(2026年10月確認)

管理組合が申請者になるとき

管理組合が申請者になる場合、代表者が選ばれたことを示す書類が必要です。法人格をもたない管理組合では、現在の代表者が選ばれたことを証する総会の議事録等(作成日・管理組合名・代表者名等)と、代表者の本人確認書類を用意します。

新築の分譲で管理組合がまだ発足していない場合は、管理組合の発足日を確認できる書類が求められます。書類の準備は申請の直前に慌てないよう、早めに確認しておくと安心です。

出典:令和7年度補正 申請の手引き(2026年10月確認)

この記事の目次

普通決議と特別決議、どちらが必要?

決議の種類は工事の内容で変わります。ここでは法律の枠組みと、標準管理規約コメントの考え方を整理します。断定はできないため、最後は自分のマンションの管理規約で確かめることが大切です。

普通決議か特別決議か。工事で共用部分の形や働きが大きく変わるなら特別決議の可能性、充電器の設置・配管など加工が小さいなら普通決議でできると考えられる。最後は自分のマンションの管理規約で確認
普通決議か特別決議か(考え方)
管理組合の理事
管理組合の理事

充電器の設置は、過半数の普通決議で決めてよいのでしょうか?

EV充電アドバイザー
EV充電アドバイザー

加工の程度が小さい工事は「普通決議により実施可能と考えられる」とされています。ただし工事内容と管理規約により変わるため、個別の確認が必要です。

法律の枠組み

区分所有法では、共用部分を大きく変える工事は特別決議、そうでない工事は普通決議が必要という枠組みになっています。これは2026年4月1日施行の改正後の条文にもとづく整理です。どちらに当たるかは工事の内容と管理規約によります。

共用部分の変更のうち、その形状または効用の著しい変更を伴うものは特別決議です。要件は「区分所有者の過半数で議決権の過半数を有する者が出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3(規約で、2分の1を超える範囲で下回る割合を定めた場合はその割合)以上の多数」とされています(第17条第1項)。

著しい変更を伴わない工事や共用部分の管理は、集会の決議で決します(第18条第1項)。議事は、別段の定めがない限り「出席した区分所有者及びその議決権の各過半数」で決します(第39条第1項)。これが普通決議です。

出典:建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索)(2026年10月確認)

標準管理規約コメントの考え方

国土交通省の標準管理規約コメントでは、充電設備の設置など加工の程度が小さい工事は「普通決議により実施可能と考えられる」とされています。これは令和6年6月の改正で新設された記載です。背景には、既設の集合住宅への充電設備設置を推進する規制改革実施計画(令和5年6月16日閣議決定)があります。

コメント第47条関係⑥カ)では、「充電器自体の設置及び配線を通すために必要な配管の設置など、建物の躯体部分や敷地への加工の程度が小さい工事を行う場合や、敷地へ相当程度の加工を加えることなく受変電設備(建物で電気を受けて電圧を変える設備)を変更する場合は、普通決議により実施可能と考えられる」と示されています。

ここで注意したいのは、標準管理規約はあくまでひな形だという点です。各マンションの管理規約そのものではありません。「標準管理規約のコメントでは実施可能と考えられる、とされています」という前提で読み、自分の規約を確認しましょう。

出典:国土交通省「マンション標準管理規約 令和6年改正について」(2026年10月確認)

自分のマンションで確かめること

決議の種類を判断するには、3つの点を確認します。管理規約の決議の定め、工事の範囲、規約上の位置づけです。これらを事業者の現地調査とあわせて確かめると、判断がしやすくなります。

  • 管理規約に決議の種類について特別な定めがないか
  • 工事の範囲(掘削・受変電設備の新設など、加工の程度)
  • 充電設備を付属施設として規約に位置づけるかどうか

掘削をともなう大規模な工事や、受変電設備を新設する工事では、加工の程度が大きくなる可能性があります。工事内容が確定してから、管理会社や専門家に決議の種類を確認するのが確実です。

CAUTION

「普通決議でよい」「過半数で決められる」と最初から言い切るのは避けましょう。工事内容と管理規約により特別決議が必要になる場合があります。

総会で一緒に決めておきたい5つのこと

総会にかけるときは、設置の承認だけでなく、運用に関わる項目も一緒に決めておくと後の手戻りが減ります。ここでは5つの項目を整理します。金額を入れたひな形は作らず、項目の並びだけ示します。

設置場所・設備の種類・費用負担

まず決めたいのは、設置場所と口数、そして設備の種類です。国の補助では、普通充電器とコンセントの併設は不可とされています。どちらで進めるかを総会で確認しておきましょう。

費用の負担は、居住者全員で負担する方法と、利用者だけで負担する方法の2種類があります。どちらを選ぶかは組合の方針によります。

国の補助は「定額(1/1以内)」などの形で、費用の一部を補助するものです。全額補助や自己負担ゼロと考えず、残りの負担をどう分けるかを話し合いましょう。

費用負担の考え方は課金・精算のしくみもあわせてご覧ください。設置場所や設備の選び方で迷う場合は、無料の見積もり相談から現地調査と費用の目安を確認できます。

利用料の取り方と使用細則

利用料の取り方と使用細則は、設置後の運用に直結します。標準管理規約コメント第15条関係④では、使用上のルールや使用料を駐車場使用細則等に定めることが望ましいとされています。設置時には、設置費用や運用・維持費を誰がどの程度負担するかを、あらかじめ総会で決議しておくことが望ましいとも示されています。

利用料の取り方には、kWhごと、時間・回数ごと、駐車料金に定額上乗せ、といった方法があります。使用細則の具体的な中身は利用ルールで詳しく解説しています。

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補助金の申請と申請者

補助金の申請と申請者も、総会で確認しておく項目です。管理組合が申請者になる場合は、代表者(理事長など)が手続きを行います。申請のタイミングは、原則として総会での承認後、工事の発注前になります。

補助金は他の制度と組み合わせられる場合があります。併用の可否は補助金の併用をご確認ください。何から決めればよいか迷う方は、かんたん診断で現状を整理するところから始められます。

合意形成をスムーズにする進め方

決議を円滑に進めるには、合意形成を検討の初期から続けることが欠かせません。ここでは進め方のコツと、使える資料、公的な支援を紹介します。

検討の初期から総会まで継続して

合意形成は、検討の初期段階から総会等での議決まで、継続的に行う必要があります。これは東京都のポータルでも強調されている考え方です。総会の直前にまとめて説明しようとすると、反対意見への対応が難しくなります。

東京都の手順では、「総会等で承認を得る」ために住民間の合意形成が必要不可欠とされています。補助金は原則として、総会での承認後、工事発注前に申請します。

住民アンケートで要望や懸念を早めに拾うことが、スムーズな合意につながります。アンケートの進め方は住民アンケートをご覧ください。

出典:東京都マンションEV充電器情報ポータル「EV充電器設置の手順」(更新日 2026年8月1日・2026年10月確認)

説明に使える資料

総会の説明で役立つのは、事業者の現地調査と見積もり、費用負担の案、使用細則の案です。実際の金額や条件が入った資料があると、住民の理解が得やすくなります。

住民から理事会への提案の形で検討が始まることもあります。提案の進め方は理事会への提案を参考にできます。管理会社との連携で確認したい点は管理会社チェックリストにまとめています。

東京都なら無料のアドバイザー派遣

都内のマンションなら、マンション管理アドバイザーの無料派遣が利用できます。この制度は無料で何度でも利用でき、EV充電器設置に関するアドバイスを受けられます。第三者の専門家が入ることで、住民の納得が得やすくなる場合があります。

管理組合だけで判断に迷うときは、こうした公的な支援を活用するのも一つの方法です。中立的な立場からの説明は、合意形成の後押しになります。

出典:東京都マンションEV充電器情報ポータル「マンション管理アドバイザー派遣」(2026年10月確認)

よくある質問

Q. 総会まで待てないときは?
A. 国の補助金は、理事会の合意でも交付申請できます。その場合は、議事録に総会の開催予定日を書く必要があります。あわせて、議事録の作成日・理事会の開催日・設置場所名称(略称不可)・設置が理事会で承認されたことの記載が必要です。
Q. 管理規約を変えないといけない?
A. 充電設備を付属施設として明確に位置づけるなら、規約改正(特別決議)が必要になります。一方で、標準管理規約の別表第1「駐車場施設」の一部と考えるなら不要とする考え方もあります。これは業界団体のマニュアルが示す解釈で、個別の判断とされています。自分のマンションの状況に応じて確認しましょう。
Q. 総会への事業者の同席費は補助金の対象?
A. 東京都の助成(居住者用)では、マンション総会・理事会への同席等にかかる客先協議費は対象外の経費とされています。補助の対象となる経費かどうかは、公式の手引きで確認してください。
Q. 反対意見が多いときは?
A. 費用負担を利用者側にする案や、まず少ない口数から始める案など、複数の選択肢を比べて示す方法があります。東京都のアドバイザー派遣制度を使い、第三者から説明を受ける方法もあります。対立をあおるのではなく、選べる案を並べて示すことが合意への近道です。

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入力は3分ほど。検討の初期段階でも大丈夫です。

まとめ

マンションのEV充電器を国の補助金で設置するには、交付申請の時点で総会決議か理事会合意が必要です。理事会で申請する場合は、議事録に総会の開催予定日を書きます。議事録の記載項目は決まっているため、略称を使わないなど細かい点に注意しましょう。

決議の種類は工事の内容で変わります。標準管理規約コメントでは加工の程度が小さい工事は「普通決議により実施可能と考えられる」とされていますが、断定はできません。

工事の範囲と自分のマンションの管理規約で確かめることが大切です。総会では設置の承認だけでなく、費用負担や利用ルールも一緒に決めておくと、後の運用がスムーズになります。

議案や説明資料のつくり方で迷ったときは、現地調査にもとづく費用の目安や費用負担の案を用意すると、合意形成が進めやすくなります。導入までの流れは設置の流れもあわせてご覧ください。EV充電のこれから相談室では、導入や補助金についての相談を無料で受け付けています。

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この記事を書いた人

集合住宅のEV充電設備について、国・自治体の公式資料にあたりながら、管理組合・管理会社の方が判断しやすい形で解説しています。補助金は年度ごとに変わるため、申請前に必ず公式の最新情報をご確認ください。

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