マンションのEV充電器の設置費用は何で決まる?内訳・補助の上限・見積もりの比べ方

結論

マンションのEV充電器の費用は、電気をどこから取るか(共用部の分電盤か、新しい引込みか、受変電設備が要るか)、配線の距離と経路、駐車場の形、設置する数で大きく変わります。公的な「相場」はないため、現地調査のうえで複数の見積もりを比べるのが確実です。

補助の上限は、国(令和7年度補正)で1基の場合135万円など、東京都(令和8年度)で1基目135万円・2基目以降68万円などです。上限は受け取れる額ではなく、実際の額は経費と国の補助額で決まります。

この記事の補助金の情報は2026年10月12日時点のものです。申請前に公式ページで最新の内容をご確認ください。

マンションにEV充電器を付けたいが、費用がいくらかかるのか分からず動けない。そんな状況の管理組合の理事さん、管理会社のご担当者さん、賃貸オーナーさんは少なくありません。業者に聞いても「見てみないと分かりません」と言われ、検討が止まってしまうこともあります。

費用がつかみにくいのには理由があります。EV充電器の工事費は、建物の電気のとり方や配線の距離で大きく変わるからです。この記事では、費用を決める条件、見積書に並ぶ工事の項目、国と東京都の補助の上限の見方、見積もりを比べるときに確認したい点を、公的な資料をもとに整理します。

こんな方にオススメ

  • ●マンションのEV充電器の費用の目安を、公的な資料でつかみたい管理組合の理事・管理会社の担当者
  • ●補助金でどこまで下がるのか、上限の見方を知りたい方
  • ●複数社の見積もりを、何を基準に比べればよいか迷っている方

この記事を読むと…

  • ●費用を決める4つの条件と、見積書に並ぶ工事の項目が分かる
  • ●国と東京都の補助の上限の見方と、受け取れる額との違いが分かる
  • ●見積もりを比べるときに確認したい点と、運用にかかる費用が分かる

なお、この記事は集合住宅(マンション)を対象にしています。戸建ての自宅の工事費用を探している方は対象外です。

自宅での工事は条件が大きく異なるため、別の情報をご確認ください。マンションにEV充電器を付ける流れ全体はマンションにEV充電器を付けるにはで解説しています。

マンションのEV充電設備は、補助金を使うと自己負担を大きく抑えられることがあります。対象になるか、無料で相談できます。

マンションのEV充電器の費用は「建物の条件」で決まる

マンションのEV充電器の費用は、建物の電気の条件で大きく変わります。公的な「相場」はありません。

費用を決めるのは、主に次の4つの条件です。どれか1つが変わるだけで、見積額は大きく動きます。

費用を決める4つの条件

費用を決める条件は、電気の取り方・配線・駐車場の形・設置数の4つです。このうち最も金額に効くのが、電気をどこから取るかです。

費用を決める4つの条件。1 電気の取り方(分電盤/新しい引込み/受変電設備)、2 配線の距離と経路(露出・架空・埋設)、3 駐車場の形(平置き・機械式・立体)、4 台数と出力(3kW・6kW)。現地調査と見積もりで決まる
費用を決める4つの条件

①電気の取り方には、共用部の分電盤から供給する方法、新しく電気を引き込む方法、建物で電気を受けて電圧を変える設備(受変電設備・キュービクル)を使う方法があります。別途電気契約をする、既存の容量の余りの範囲で収める、幹線の引替えや変圧器の取替えで容量を上げる、といった選び方で費用が変わります。

②配線の距離と経路でも変わります。電気室などから設置位置までの距離が長いほど、また露出・架空・埋設のどの方法で配線するかで、工事費が変動します。

③駐車場の形も影響します。機械式駐車場に設置する場合は、駐車場のメーカーに対応の可否を問い合わせる必要があります。

④設置する数と出力(3kW・6kW)でも金額が変わります。出力の選び方は3kWと6kWの選び方で詳しく解説しています。

契約容量が50kVA以上になると受変電設備が要る

契約容量が50kVA以上になる場合は、高圧受変電設備(キュービクル等)の設置が必要になり、工事費用が大きく変わります。これが費用の桁を左右する分かれ目です。

EV充電器を複数台設置して必要な電気の容量が増えると、建物の電気の受け方が低圧から高圧に変わります。高圧で電気を受けるには、建物で電気を受けて電圧を変える設備(受変電設備・キュービクル)が必要です。この設備の設置工事が加わると、費用の規模が変わります。

いまの建物の電気の容量で足りるのか、増設が要るのかは、現地調査をしないと分かりません。容量が足りないと言われたときの考え方は電気の容量が足りないときで整理しています。

この記事の目次

業界団体の試算例を見てみる(相場ではありません)

費用の感覚をつかむために、業界団体が公開しているモデルケースの試算を見てみます。これは相場ではありません

一定の条件に基づく概算見積もりで、同様の工事内容であっても大きく変動する可能性があります。補助金を使う前の金額で、2022年時点の試算です。

モデル条件試算の工事費用等
①共用部の分電盤から供給、コンセント型 3kW を1台、配線約20m(露出)約46万円
②共用部の分電盤から供給(12kW程度を確保できる場合)、3kWコンセント型4台 または 6kWケーブル付2台、配線約30m(露出)約121万円(コンセント4台)/約193万円(ケーブル付2台)
③特別措置を利用し低圧受電(近隣電柱等から引込)、3kWコンセント型を10台分ポールで設置、架空約60m約1,192万円
④特別措置を利用し高圧受電(近隣電柱等から引込、受変電設備から供給)、6kWケーブル付を10台分ポールで設置、埋設約60m約3,104万円

この試算は一定の条件に基づく概算見積もりで、同様の工事内容であっても大きく変動する可能性があります。補助金を使う前の金額です。

2022年時点の試算で、その後の物価の変化は反映されていません。この表から「1基あたり◯万円」を割り出すことはできません。

この表から読み取ってほしいのは、台数より、電気をどこから取るかで桁が変わるということです。①と②は共用部の分電盤から供給しているため数十万〜百数十万円台ですが、③④は近隣の電柱などから引込み、受変電設備を使うため、千万円単位になっています。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」2022年8月(国土交通省サイト掲載)(2026年10月確認)

見積書に並ぶ工事の項目

見積書を見ると、いくつもの工事の項目が並びます。ここでは、国の補助金の工事費上限表に載っている工事の項目を手がかりに整理します。項目の名前を知っておくと、複数社の見積もりを比べやすくなります。

充電設備の設置工事

中心になるのが充電設備の設置工事です。ここには、基礎・据付工事費、搬入・運搬費、電気配線工事費が含まれます。

電気の容量を増やす必要がある場合は、高圧受変電設備設置工事費が加わります。近隣の電柱などから電気を引き込む特別措置を使う場合は、特別措置に基づく受電工事費も入ります。前の章で見たとおり、これらが入るかどうかで費用の規模が変わります。

付帯設備

付帯設備は、充電スペースを使いやすく安全にするための工事です。充電スペースのライン引き、路面表示、屋根・小屋(どちらか一方)、充電設備防護用部材、電灯などが含まれます。

見積書によっては、付帯設備をまとめて計上していたり、項目ごとに分けていたりします。どこまで入っているかを確認すると、各社の金額の差の理由が見えてきます。

その他の費用

そのほかに、雑材・消耗品費・養生費、レイアウト検討費(図面作成費・電力会社立会・協議費を含む)、安全誘導員費、充電スペース造成費、現場監督費などの労務費があります。

これらは一見すると見落としがちですが、見積額の差に影響します。工事の内容が複雑なほど、こうした費用も増える傾向があります。工事の流れ全体はEV充電の工事で解説しています。

出典:次世代自動車振興センター 令和7年度補正 別表1-2(2026年10月確認)

補助でどこまで下がる?上限の見方

補助金を使うと費用は下がりますが、上限には見方があります。上限は受け取れる額ではありません

実際の額は、工事の経費と国の補助額によって決まります。国と東京都の上限を順に見ていきます。

国(令和7年度補正、募集は終了)

国の補助金(次世代自動車振興センター)の令和7年度補正は、すでに募集が終了しています。これから申請できるものではありませんが、上限の見方の参考になります。

分譲・賃貸マンション等で、高圧受変電設備なし・1基の場合の工事費上限は、次のとおりです。

設備の種類平置き機械式
普通充電設備・コンセントスタンド135万円135万円
充電用コンセント95万円135万円

高圧受変電設備を設置する場合の上限は1,035万円(充電用コンセントの平置きは995万円)です。また、既存の分譲マンションで管理組合が申請する「マンション等簡易申請」の列では、普通充電設備・コンセントスタンド95万円、充電用コンセント65万円です。上の金額は1基の場合の表の値で、複数基の上限は別にセンターが定めています。

これらは令和7年度補正の値で、現在は募集が終了しています。補助金の制度全体はEV充電器の補助金で解説しています。

東京都(令和8年度、居住者用)

東京都には、令和8年度の居住者用の助成があります。工事費の上限は設備の種類と基数で分かれます。

項目1基目2基目以降(1基あたり)
普通充電設備・コンセントスタンドの工事費135万円68万円
同(機械式)171万円86万円
充電用コンセントの工事費95万円48万円

通信機能付きの設備は、それぞれ3万円が加算されます。このほか、受変電設備は435万円まで、機械式駐車場のパレット改修は1パレット140万円まで、先行工事は1区画7万円(機械式は30万円)までが上限です。

詳しくは東京都の補助金をご確認ください。国と東京都の併用については国と東京都の併用で整理しています。

出典:クール・ネット東京 手引き(第4版)(2026年10月確認)

補助の対象にならない費用(東京都)

補助の上限だけを見ていると、実際の自己負担を見誤ります。東京都の助成では、次の費用は対象外です。

  • 一般管理費、共通設費、交通費・保険費等
  • 写真管理費、客先協議費(総会・理事会への同席等)
  • 申請手続代行費、助成金申請の代行手数料・コンサルタント料(図面作成費を除く)
  • 振込手数料
  • 交付決定日前に発注・施工した経費(事前申請の場合)

CAUTION

上限は受け取れる額ではありません。対象外の経費もあるため、補助があっても自己負担が残ります。国の令和7年度補正は募集が終了しています。

見積もりを比べるときに確認したい5つのこと

公的な相場がないため、費用を確かめる確実な方法は、複数社の見積もりを比べることです。

ただ、条件がそろっていないと比べられません。確認したい5つの点を挙げます。

同じ条件で頼んでいるか

まず、各社に同じ条件で見積もりを頼んでいるかを確認します。口数(充電器の数)、出力、設置場所、電気の取り方がそろっていないと、金額を比べても意味がありません。

片方が3kWコンセント型、もう片方が6kWケーブル付だと、そもそも設備が違います。依頼時に条件を書面でそろえておくと、各社の金額の差が純粋に比べられます。

工事の範囲がそろっているか

次に、工事の範囲がそろっているかを確認します。前の章で見た工事の項目のうち、どこまでが見積もりに入っているかを見ます。

安く見える見積もりでも、付帯設備やその他の費用が含まれていないと、あとから追加になることがあります。追加費用が出る条件を書面で出してもらうと安心です。EV充電器を付ける流れ全体を知りたい方は見積もりのページもご確認ください。

運用の費用と所有の形

設置費用だけでなく、運用の費用も確認します。保守契約、通信、システム利用料、将来の機器交換の費用です。

マニュアルは、保守契約費用について「月当たり数千円から数万円まで保守契約の内容によって様々」とし、設置事業者に確認するよう記載しています。これは相場ではなく、幅があるという意味です。

所有の形も比べます。管理組合が買い取るか、事業者が設置・所有するかで、初期費用や運用のかたちが変わります。

「初期費用0円」の提供には条件があります。仕組みは初期費用0円の仕組みで解説しています。

補助金の申請を手伝ってくれるか

補助金の申請を手伝ってくれるかも確認したい点です。国の補助金の手続代行者は、センターが認めた場合を除き、原則として工事施工会社に限られます。東京都では、申請手続代行費・助成金申請の代行手数料は助成の対象外です。

誰がどこまで申請を担うのかを、最初に確認しておくとスムーズです。自分のマンションの場合を知りたい方は診断からご確認いただけます。

出典:東京都「できるだけ多くの事業者からお見積りをとられることをおすすめします」/国の手続代行は原則工事施工会社(交付規程第18条)(2026年10月確認)

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  • 補助金の対象になるか確認できる
  • 複数社の提案・見積もりを比べられる
  • 理事会・総会向けの資料づくりも相談できる

入力は3分ほど。検討の初期段階でも大丈夫です。

費用は誰が払う?分担と利用料の考え方

費用の総額が見えてきたら、次は誰がどう払うかです。マンションでは、設置費用と運用費用の分担をあらかじめ決めておくことが大切です。

設置費用の分担

設置費用の分担には、居住者全員で負担する方法と、利用者だけで負担する方法があります。マニュアルは、修繕積立金で共用設備として設置し、利用者から月々の利用料で回収する方法をモデルケースとしています。

どちらの方法にするかは、マンションの事情によります。全員で負担する場合は、EV充電器を使わない住戸の理解も必要になります。総会・理事会での合意の進め方は総会決議・理事会合意で解説しています。

電気代の取り方は3通り

電気代の取り方には、大きく3つの方法があります。使った分に応じて課金するか、時間で課金するか、定額にするかです。

  • kWhごとの従量課金(特定計量制度に対応した充電器などが必要)
  • 時間・回数ごとの課金
  • 駐車料金に定額を上乗せ

どの方法にするかで、必要な機器や運用のかたちが変わります。課金の仕組みは利用料の決め方と課金システムで、利用ルールの決め方は利用ルールで整理しています。

総会で決めておきたいこと

設置費用や運用・維持費の負担は、あらかじめ総会で決議しておくことが望ましいとされています。標準管理規約コメント(令和6年改正)に、この考え方が示されています。

後から負担のルールでもめないよう、工事に入る前に決めておくのが安心です。費用の分担、利用料の決め方、利用ルールをセットで検討すると、導入後の運用が落ち着きます。

出典:マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへのEV・PHEV充電設備導入マニュアル」2022年8月(2026年10月確認)

よくある質問

Q. 1基あたりの相場はいくらですか?
A. 公的な相場はありません。電気の取り方と配線の距離で費用が大きく変わるため、「1基あたり◯万円」という目安は出せません。現地調査のうえで、複数社の見積もりを比べて確認するのが確実です。
Q. 補助金を使えば自己負担はゼロになりますか?
A. ゼロとは限りません。補助には上限があり、実際に受け取れる額は経費や国の補助額で決まります。また、補助の対象にならない費用もあるため、補助があっても自己負担が残ることがあります。
Q. 機械式駐車場は費用が高くなりますか?
A. 東京都は、機械式駐車場は平置きより費用が高額になる傾向があるとし、補助の上限を高く設定しています。設置の可否はメーカーへの確認が必要です。詳しくは機械式駐車場への設置をご確認ください。(出典:東京都EV充電ポータル)
Q. 電気の容量が足りないと言われたら?
A. 受変電設備の設置や別の引込みなど、容量を増やす方法があります。方法によって費用が大きく変わるため、複数案で比べることをおすすめします。詳しくは電気の容量が足りないときをご確認ください。

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まとめ

マンションのEV充電器の費用は、建物の条件で大きく変わります。とくに、電気をどこから取るか(共用部の分電盤か、引込みや受変電設備か)で桁が変わります。公的な「相場」はないため、「1基あたり◯万円」という数字をうのみにせず、現地調査のうえで判断することが大切です。

費用を確かめる確実な方法は、同じ条件で複数社の見積もりを比べることです。工事の範囲、運用の費用、所有の形、補助金の申請の支援までをそろえて見ると、各社の違いが見えてきます。

補助金は費用を下げてくれますが、上限は受け取れる額ではありません。対象外の経費もあり、国の令和7年度補正はすでに募集が終了しています。

補助の最新の内容は、申請前に必ず公式ページでご確認ください。まずは自分のマンションの条件で、見積もりを取ることから始めてみてください。

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この記事を書いた人

集合住宅のEV充電設備について、国・自治体の公式資料にあたりながら、管理組合・管理会社の方が判断しやすい形で解説しています。補助金は年度ごとに変わるため、申請前に必ず公式の最新情報をご確認ください。

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